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【長崎奉行所か、ハビアンか7】これは査読付き「学術論文」なのか… (櫻井義秀氏の論文の場合) Ⅰ
櫻井義秀氏は摂理についての論文を何本か書いていますが、同氏の著した論文は事実と反する記述があまりにも多く、また客観性、事実立脚性がなく、櫻井氏の主観、憶測、偏見等に基づくと見られる恣意的な主張、表現が多いため、到底学術論文として認めることができないため、あえてここに紹介することにしました。
一つは2006年に中央公論に掲載された論文であり、もう一つは、北海道大学に基盤を置く高等教育ジャーナルというところに掲載された論文です。前者は、大衆向けの記述ですが、論文の体をなしておらず、後者に至っては、査読付きの論文ということで、自然科学や工学の論文と比べるとこのような論文が学術論文として認められること自体大きな疑問です。
二本の論文について、本文の抜粋と、問題点や事実に反する箇所について私の意見を載せています。
「カルト」の被害をどう食い止めるか:摂理とキャンパス内勧誘(中央公論2006)より
本文抜粋 | 問題点・事実に反する箇所など |
1摂理報道とカルト問題 より (p1)
「教祖、性的暴行繰り返す」「被害者百人超か」 宗教団体の性的スキャンダルは、従来週刊誌の記事になることが多く、週刊ポストが2002 年11 月に5 回も摂理批判の特集を組んでいた。しかし、新聞各社は何も報じなかった。大方のメディアにとって、事件とは警察による関係者の逮捕や、損害賠償の民事裁判 によって始まるのであり、宗教トラブルの場合「被害」の告発だけではニュースにしないのが普通である。この度の朝日には相当の覚悟があると思われる。 |
「被害者百人超か」「神かたり人格破壊」などと述べているが、単なる著者の感想であり、憶測と根拠のない是認といえる。 「渡辺博弁護士」による「多くの被害女性のために教祖と幹部を刑事告発する準備がある」との記述についても、当団体も当団体の信徒も、日本国内において刑事告訴されたことは一度もない。 何らの客観的な裏付け証拠なく、このようなゴシップ記事を鵜のみにしている。 さらに、著者はこれらの朝日新聞による報道を無批判に「正」として論旨を展開しており、学術論文としての客観性を何ら備えていない。 |
本文抜粋 | 問題点・事実に反する箇所など |
(p1)
1999 年3 月20 日に韓国のテレビ局SBS が視聴率34.4%を記録した特集の映像クリップであり、2 回分2 時間にわたる摂理批判は被害の実態、摂理側の問題隠蔽工作等、余すことなく伝えている。 |
韓国SBS放送の該当報道は、裁判によって、これらが捏造報道であり、画像の編集、音声の改変を意図的に行ったことが認定されている。しかしこの事実を取り上げず、捏造報道がなされた事実のみを取り上げている(→詳細記事はこちら)。
当団体を批判する「エクソドス」についても、既に当団体を誤解し、誤った情報を流布したことを認め、エクソドスの代表者が謝罪文を鄭明析氏に対して送っている(→詳細記事はこちら)。 |
本文抜粋 | 問題点・事実に反する箇所など |
2 摂理と統一教 より (p3)
統一教会にせよ、摂理にせよ、青年信者達の共同生活において、男女の身体接触はおろか、恋愛関係は厳に禁じられる。性的欲求が最も旺盛な青年期に禁欲を課す。二つの効果が考えられる。 先延ばしにされた崇高な恋愛のために、幾多の困難をも乗り越えるのが青年の物語である。もちろん、このような補償的理念をよしとする若者は少数派である。だから、旺盛な宣教活動の割に、両教団とも信者が少ないのだ。 |
統一教会や当団体だけが、貞操を重んじるわけではない。多くのプロテスタントの教派やカトリックにおいても、通常のことである。著者は一般的なキリスト教の各教派における信徒の生活も知らないのではないかと思われる。
しかも、禁欲についての二つの効果として挙げた理由も、甚だ理解不能の理屈であって、このような心的理由、信徒の行動原理を説明しようとしているが、著者の創作物語、まさに妄想から生まれた「創作の物語」に過ぎない。 |
本文抜粋 | 問題点・事実に反する箇所など |
3 勧誘から性的被害まで より (p5) しかし、規模の大小はあれ、様々な理由を付けてカルトは教祖による性支配を実践していた。1993 年に FBI と壮絶な銃撃戦の末、80 名の信者を道連れに集団自殺したブランチ・ダビディアンの教祖は女性信者と聖なる結婚をしていたし、多妻婚を教義の一部としていた初期のモルモン教や、その分派で多妻婚を現在も続けている複婚主義者達など枚挙にいとまがない。 |
左記のとおり、事件を起こした他の宗教団体等(ブランチ・ダビディアン、モルモン教)を挙げて当団体を対比しているようであるが、このような対比は何ら意味をなさない。また、当団体がこのような事件を起こした宗教団体と同列であるとする根拠はなく、当団体に対して恣意的に悪質な印象を植え付けるものである。
当団体には教義としても、実際的にも性的支配などというのは、存在しない。当団体では女性を性別において差別することは全くなく、女性の指導者が多いが、一方で男性の指導者も多く、組織体としては健全な男女構成比を保っている。韓国は儒教文化が根強いため、当団体において女性指導者が活躍する姿は特異であると見られ、残念ながら、過去に韓国の伝統的なキリスト教会からは批判的に捉えられることはあったであろう。 |
本文抜粋 | 問題点・事実に反する箇所など |
4 キャンパス内勧誘に対して大学に打つべき手はあるか より (p5)
摂理の違法行為は二点ある。第一に、教祖による性暴力。第二に、正体を隠した勧誘行為は、学生達の信教の自由を侵害した。彼等には十分な情報と判断できる環境のなかで宗教を選択する自由が保障されなければならなかったのである。 摂理や JMS の名前、教祖の醜聞、活動内容を予め明かしたら誰も来ないということを見こして、ソフトなサークル活動から徐々に宣教を試みたのだろうが、卑怯である。 |
当団体に関して、二点を違法行為としているが、二点とも事実に反している。
一点目、「教祖による性暴力」について、このような事実はない(→検証記事はこちら)。 また、統一教会の勧誘活動に関する訴訟を挙げて、当団体も同様に違法と論じているが、この裁判では、宗教勧誘により、商品売買の斡旋をしたことが違法とされたものであり、当団体には全く当てはまらない。 |
本文抜粋 | 問題点・事実に反する箇所など |
4 キャンパス内勧誘に対して大学に打つべき手はあるか より (p6) 今時の学生は心配性だし、相談相手は少ないし、相手にノーと言えない優しい、気だてのいい子達だ。皮肉な言い方をすればカモである。 |
著者の学生観は果たして的を射ているのだろうか。 今の学生はそれほど分別力がないわけでもなく、自律していないというのか。我々が接している学生は、そこまで愚かではない。「カモ」という表現を使う著者に、教員としての資質を問いたい。 |